「マインドフルネス」をご存じですか?
「キーワードとしては聞いたことはあるけど、結局何なのかよくわからない」と思っている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなマインドフルネスについてわかりやすく解説します。マインドフルネス瞑想についても触れているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
マインドフルネスって何?
マインドフルネスとは、「今、目の前で起こっていることに意識を置き、良し悪しの評価をせずにただ観ること」です。このような表現はマインドフルネスの説明としてよく見かけるのですが、正直イメージを掴みづらいですよね。
こう言われてみると、イメージしやすいのではないでしょうか?
マインドフルネスだと何がいいの?
ここでは、マインドフルネスであることでどんな効果が得られるのかを見ていきます。
いつでも心の落ち着きを得られる
マインドフルネスであることによって、心の中にある様々な雑念にとらわれない状態になることができます。このことによって、いつでも心の落ち着きを得ることができます。ここでは「得る」と表現していますが、もっと正確には、心の中にもともと「ある」落ち着きの状態でいられるというイメージです。
ストレスから解放される
ストレスは、自分が置かれている状況や自分の中に湧いた感情に対する反応によって発生します。そうしてネガティブな考えが頭の中をぐるぐると回り、その時間が長引けばいよいよ身体にまで影響を及ぼします。マインドフルネスであることで、自分の意識をこのネガティブな考えへのとらわれから解放することができるのです。
集中力があがる
集中力とはすなわち、自分の意識をコントロールする力と言えます。意識を集中すべき対象に常に向けていることができれば、きっとその対象に対して大きな力を発揮できるでしょう。マインドフルネスのトレーニングは、まさしく自分の意識をコントロールするトレーニングです。取り組むことで、徐々にではありますが集中力の向上を実感できます。このことはビジネスにも大きな好影響を与えます。そのため、GoogleやAppleなどの世界的な大企業でも社員研修としてマインドフルネスが取り入れられています。
行動が感情に左右されなくなる
「気に食わない相手に怒りをぶつける」「ストレス解消のためにジャンクフードの暴飲暴食」などなど、頭の中に湧いた感情にとらわれて望ましくない行動をしてしまうこともあります。こういったときには、これらの感情の原因や感情自体に意識がとらわれていて、目の前の現実に意識が向いていない状態となります。マインドフルネスであることで、こういった感情にとらわれることがなくなります。少し距離を取ったところから気付きを得る、といった形で自分の思考や感情と付き合うことができます。そうすることで自分の行動に対しても理性的な判断を下すことができ、結果的に感情も安定していきます。
人間関係の改善にもこのことが役に立ちます。理性的な判断ができるので相手に自分のエゴをぶつけるようなことがなくなります。また、相手の言葉や態度に意識を向けることができるようになれば、これまでよりも深く相手への共感をすることができるでしょう。
日常体験が良くなる
目の前の現実世界に意識を置き、五感をフルに活用することで、これまでよりも格段に良い日常体験ができるようになります。
例えば、目の前に出された好物を食べるときにマインドフルネスを活用することを考えてみましょう。見た目の美しさ、食欲をそそる匂い、やみつきになる食感、「おいしい」以外の言葉がいらない味。これらの感覚を最初の一口目から最後の一口まで楽しみ続けることができるのです。気付いたら「もう最後の一口か」となったあの食事の何倍の幸福を得られたことでしょう!ですが、食べているものも量も同じなのです、もちろん食費も。であれば、マインドフルネスを活用しない理由はありませんね。
このように、マインドフルネスには日常を良いものにする多くの効果があります。すべては書ききれていないほどです!
では、どうすればマインドフルネスを身につけることができるのでしょうか?気になりますよね。安心してください。マインドフルネスは時間も場所もお金もとらずに身につけていくことができます。
そのための基本的なトレーニングの方法である「マインドフルネス瞑想」について、これからご紹介していきます。
マインドフルネス瞑想をしてみよう!
マインドフルネスにおいては、自分の意識を今この瞬間に置くというコントロールが必要となります。この「意識のコントロール」をするトレーニングが、マインドフルネス瞑想です。
1日10分程度でできるので、ぜひ日ごろの習慣の中に取り入れてみてください!
マインドフルネス瞑想の方法
瞑想では、意識を集中させる対象が必要となります。宗教的な瞑想ではその対象が信仰する神様や仏様だったりします。今回紹介するマインドフルネス瞑想の方法では、自らの呼吸を集中の対象とします。
導入 (3分~5分)
リラックスして呼吸に意識を集中させるためには、この導入のプロセスが欠かせません。
以下の手順をゆっくり行い、徐々に体と心を落ち着けていきましょう。
- いすに深く腰掛け、姿勢を正して体の力を抜きます。
いすでの実施をおすすめしますが、床に座って実施していただいても構いません。その場合はあぐらの体勢で行いましょう。
体に疲れがある場合は、背もたれにもたれかかっても良いです。ですが、あまり姿勢が悪くならないようにしましょう。 - 大きく深呼吸をします。鼻から吸って口から吐きましょう。
鼻と口を通る空気の動きを感じ取るように意識してみてください。
3回~5回繰り返します。終えるときに目を閉じてください。 - いすや床と触れている体の部分に意識を置き、不快感がないか感じ取ってみます。
不快感がある場合、ちょっとした姿勢の変化でそれが治まるのであれば、このタイミングで直してしまいましょう。
治まらない場合は、その不快感を受け入れて次のステップに進みます。この不快感もよい瞑想体験の道具になってくれるので安心してください。 - 全身のボディスキャンを行います。
頭のてっぺんから足のつま先まで、上から順番に意識を向けていきます。意識するポイントにスポットライトが当てられているイメージを持つと感覚がつかみやすいかもしれません。
全身を30秒ほどかけて、各部位に痛みやかゆみ、こり、不快感がないかを意識していきます。
ちなみに、このプロセス単体でボディスキャン瞑想として実施することもできます。 - 頭の中の整理をします。
今の気分はどうか、頭の中で自分自身に問いかけてみてください。また、今の頭の中にはどんなトピックスがあるか、少しだけ思い浮かべてみましょう。仕事のことでしょうか?それとも気になるあの人のことでしょうか?
これらのトピックスは瞑想中に頭の中に出てくる可能性が高いです。あらかじめそのことを把握したうえで瞑想に臨みましょう。
ここまでが導入のプロセスです。文字にすると長く感じますが、慣れてしまえばどうってことはありません。順調に消化できていれば、心は落ち着き、瞑想に入る準備が整っています。では、実際に瞑想をしていきましょう。
呼吸への集中(5分~10分)
このプロセスは、タイマーで時間を測って実施してください。タイマーを使わずに実施すると、「いつ終わろうか」という考えが雑念となって頭の中に浮かんでしまいます。5分から10分の間でタイマーをセットして実施してください。無理なく取り入れられる程度の時間で構いません。
タイマーをスタートさせたら、以下の手順で瞑想を行ってください。
- 自らの自然な呼吸に意識を置きます。
鼻先を意識して、空気の出入りを感じ取ってください。このリズムがつかめたら、横隔膜あたりに意識を置きましょう。呼吸のリズムで膨らんだり縮んだりしているのが分かります。
この吸って吐くという呼吸の存在に意識を合わせていきます。
注意するのは、自然な呼吸に意識を置くということです。瞑想のために意図的に大きな呼吸をしても、意識を研ぎ澄ませるという点においては効果が薄れます。 - 呼吸をカウントしていきます。
吸った時に1、吐いたら2、吸ったら3、吐いたら4、という風に呼吸に合わせて頭の中でカウントをしていきます。
カウントが10までいったら、次の吸うときは1にカウントを戻します。
呼吸への集中を容易にするためのカウントですので、自分に合ったカウントの方法で構いません。瞑想の方法を紹介している記事でも、このカウントの方法はバラバラです。
なにより、慣れてきたらカウントを卒業しましょう。カウントをせずとも呼吸に集中できるのが一番良いです。 - 呼吸から意識が逸れたら、手順①に戻りましょう。
頭の中にある考えなどについつい意識がいってしまい、呼吸に集中することを忘れてしまうことがあります。それもしょっちゅう。
ですがそのこと自体は全く問題ありません。むしろ、逸れたことに気づくことこそが瞑想の効果を高めます。
この手順を、タイマーが鳴るまで続けていきます。瞑想が上達してきて、意識が逸れることが少なくなってきたら、タイマーの時間を10分から20分、30分へと伸ばしてみてもいいでしょう。ですが、無理なく継続するということが一番大事なので、まずは10分以内での実施をおすすめします。
終了時(約1分)
タイマーが鳴った後は、すぐに瞑想を切り上げてしまうのではなく、徐々に瞑想の世界から現実世界へと戻るためのプロセスを踏みましょう。水風呂に足先からゆっくり入るのと同じ感覚です。刺激に慣れながらシフトしていくことで、瞑想で得た心の落ち着きをそのまま持って現実に戻りましょう。
鳴ったタイマーを止めたら、以下の手順を行ってください。
- 目を閉じたまま、呼吸への集中をやめて、30秒ほど「何かに意識を置く」ということを放棄します。
そうすると、心地よい感覚のままいろんな考えが浮かんでは消えると思います。瞑想中はこうなったら呼吸に意識を置きますが、この時間だけはそのままにしていてください。
書籍などでは「心を解放する」「心を自由にする」なんて表現がなされたりします。あまり深く考えずにボーっとするということだと捉えてください。 - 全身のボディスキャンを行います。
開始前は頭⇒足の流れでボディスキャンをしたので、今度はその逆で足⇒頭の流れで実施してください。
節々の不快感やいすに触れている面の感触などにも注意を置きます。頭の先までスキャンが終わったら、聴覚や嗅覚にも意識を置いてみましょう。どんな音や匂いがするでしょうか? - ゆっくりと目を開けます。
視覚からの情報は最も大きな刺激となります。目が慣れてきたら一度深呼吸をしましょう。
視覚に集中し、次にやることを思い浮かべたら、いすから立ち上がります。
以上で瞑想は終了です。お疲れさまでした!
日常の中にも瞑想を取り入れよう!
マインドフルネスとは、瞑想をしているだけでは大きな意味はなく、その感覚を日常生活の中に取り入れることで大きな力を発揮します。究極的には日常のすべての時間に取り入れることができるのですが、まずはその感覚を養うために、わかりやすいところからトレーニングをしていきましょう。
歩行瞑想
その名の通り、歩いているときにマインドフルネスを取り入れるトレーニングです。
例えば歩き慣れた通勤コースなどでは、人は歩くことにほとんど意識を置かずとも歩いて目的地までたどり着くことができます。その間の意識というのは、例えばイヤホンから流れる音楽だったり、これから向かう勤務先での作業内容のことだったり、嫌いな上司のことだったりするかもしれません。安全に障害物を避けるための最低限の注意を払い、残りの意識は全く別のところにいってしまっているのです。
歩行瞑想では、「歩くこと」と「歩きながら自然に目や耳に入ってくるもの」に意識を置いていきます。通勤中でも買い物中でも、基本的にいつでも実施できるので、気軽に取り入れてみてください。
歩行瞑想は以下の手順で行います。
- 歩き始めたら、体の感覚に意識を向けます。(1分)
歩いているときの姿勢や、こわばりがないか、体の重さや痛みがないかを確かめるように、全身に意識を向けます。
可能であれば、いつもより少しゆっくり歩くようにしてみましょう。通勤中など、それが不可能であればいつものペースで構いません。
歩くフォームはいつも通りで構いません。歩行瞑想だからといって無理やり腕を大きく振ったり膝を高く上げたりする必要はありません。 - 視覚に意識を向けます。(30秒)
今歩いている道の路面、風景、すれ違う人々といった情報に意識を向けます。
見えたものが「在る」という認識だけでいいです。判断を加えないようにしましょう。たとえタイプの女性とすれ違っても「かわいい!」と考える必要はありません。咄嗟に思ってしまったのなら、次の視覚情報に意識を向けましょう。 - 聴覚に意識を向けます。(30秒)
どんな音が聞こえてくるでしょうか。自然な音を聞くため、このトレーニング中はイヤホンはしないようにしましょう。
こちらも視覚と同じように、判断を加えずにただ耳に入ってくる音に意識を向け続けます。気になった音を無理に追いかける必要はありません。 - 嗅覚に意識を向けます。(30秒)
どんな香りがするか、鼻の感覚に注意を向けます。いい香りがするかもしれないし、道路であればガソリン臭いかもしれません。
匂いを感じたときの心の動きに注目してみてください。香水を嗅いで自然と誰かを思い出していることがあるかもしれません。 - 肉体的な感覚に意識を向けます。(30秒)
暖かい、寒いといった肌の感覚や、登り坂で少し張りを感じる太もも、下り坂で力が入る膝の感覚、痛みがあったり心地よさを感じる部分があったりします。
これらの肉体的な感覚に意識を向けます。もちろん判断を加えることはしません。痛みは悪ではないし暖かさは善ではありません。そのどれもが肉体的な感覚です。 - 五感で受け取る情報に意識を置きながら、ゆったりと歩きます。
②~⑤のように受け取った感覚に意識を置き、そこから発生する心の動きにも注意を払います。
自由に歩いているとついつい意識が頭の中の考えにとらわれてしまうかもしれません。そんなときは歩いている足の裏の感覚に意識を戻します。
マインドフルネス瞑想での呼吸の役割=意識の支点を、歩行瞑想では足の裏にします。足の裏が地面と触れている感覚を意識して歩きましょう。
このような手順で歩行瞑想を実行します。歩行瞑想もマインドフルネス瞑想と同じく大事なのは意識をコントロールすることです。今の自分の意識がどこにあるのかに気づき、必要あらば意図的に意識の場所を変えてあげる、そんな取り組みの積み重ねがマインドフルネスをもたらします。
また、「足の裏の感覚」と「肉体的な感覚」の2点に意識を集中させることで、例えばランニングなどの運動中にもマインドフルネスをトレーニングすることができます。歩行瞑想の応用でできるので、こちらも試してみてください。
食事瞑想
最後は食事をしながらのトレーニングです。
食事をしているときというのは、非常に頭の中の考えに意識を持っていかれやすいなと実感しています。だからこそ、マインドフルネスに食事をすることによって、一食から最大の「おいしい」と満足を得ることができるのです。
食事瞑想は以下の手順で行います。
- 今から食べるものをまずはじっくりと見ます。
おいしそうな見た目か、そうでもないのか、どんな具材が入っているのか、まずはじっくりと観察してみましょう。
そして、この食事にどれだけの人や物事が関わってきたのか、想像してみてください。お米を育てた田んぼや農家の人々、野菜を育てた土、加工食品ならその製造工場もイメージしてみましょう。
これらの物事がつながって食事を摂れることに感謝の心を持ちましょう。この心を強く持ったところからトレーニングを始めていきます。 - 食べ物が口に入る前に、まずは匂いを感じます。
まずは嗅覚に意識を置いて、ありのままにその匂いの感覚を受け取りましょう。 - そのまま食べ物を食べていきます。口の感覚に集中します。
温度、歯ごたえ、舌ざわり、そして味。口から受け取る様々な感覚を観察してください。 - 食べたものに対する心の動きに注目します。
食べたものに対してどのような感情を抱いたか、そんな心の動きに注目して、気づいてください。
「おいしい」と感じたのか、味や食感に違和感を感じたのか、熱くて食べてられないのか、一口目を食べてから食欲は増したか、減ったか。
食がもたらす感情にじっくり気づいていきましょう。 - できればゆっくりと、食事を進めていきます。
他の瞑想と同じように、途中で意識が別の何かに逸れていってしまうことがあります。この瞑想での意識の置き場所はもちろん食事です。
意識が逸れたことに気が付いたら、今から食べようと箸で掴んだ次の一口を見る視覚に、または口の中の食べ物の感覚に意識を戻してきてください。
食事瞑想は1日に3回も実施のチャンスがある瞑想の方法です。誰かと会話をしながらの食事では難しいかもしれませんが(その会話自体に意識を置く心がけはできます!)、一人で食事をとる際はぜひやってみてほしいと思います。少なくともスマホ片手に食べるごはんよりは、充実した食事になることは保証できるかなと思います。
この記事のまとめ!
- マインドフルネス瞑想を習慣に取り入れよう!
- マインドフルネスを日々の生活で実践しよう!